皆さん、こんにちは!
井戸を掘るときに最も悩ましいのは、
「どこに地下水が出てくる地層(帯水層)があるか」が地表から見えないことです。
むかしは、経験を頼りに井戸を掘ることが一般的でしたが、1960年代には電気探査によって地下の電気抵抗を測定し、帯水層を見つけるようになりました。その後、1990年代頃になると、地下の抵抗値を断面で測定できる方法が開発されました。
こうした技術は、地下水開発の成功率を高め、井戸試掘・掘削のコストを抑えるために、現在では多くの現場で活用されています。
この記事では、電気探査の基礎と最新の「高密度電気探査(比抵抗2次元探査)」について、当社・日さくの実例とともにご紹介します。
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(1)電気探査の進化 ― 点から面へ
(2)高密度電気探査(比抵抗2次元探査)とは
(3)事例紹介 ― 水道水源での地下水調査
(4)日さくの強み ― 調査から施工まで一貫対応
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(1)電気探査の進化 ― 点から面へ
電気探査は、昭和と平成・令和で調査方法が変わった技術です。
昭和期は「一次元(深さ方向)」の測定が中心で、調査点ごとにその直下の情報しか得られませんでした。
しかし1990年代以降は、計測技術と解析技術の進歩により、地下を“断面(二次元)”で可視化する高密度電気探査が主流となっています。
従来の電気探査(一次元)
・深さ方向だけを測定
・地点ごとに結果が独立
・地層の連続性を十分に把握できない
現在の電気探査(二次元)
・地下を垂直断面として連続的に把握
・地層構造が一目で理解できる
・通称「高密度電気探査」「比抵抗2次元探査」など
日さくでは、地下水開発だけでなく防災・建設・インフラ分野でも高密度電気探査を標準採用し、より精度の高い地下情報を提供しています。

高密度電気探査では、地下水を含む帯水層の広がりを断面として把握できる。
(2)高密度電気探査(比抵抗2次元探査)とは
高密度電気探査は、地表に配置した電極から地下に直流電流を流し、数多くの深度で電気の通りやすさ(比抵抗)を測定する調査方法です。
比抵抗の違いから、地層の種類や帯水層の位置を推定できます。地下水を含む地層は、低比抵抗として検出されます。
地層と比抵抗の関係
・低比抵抗(1〜100Ω・m):粘土・シルト・地下水を含む層
・高比抵抗(100〜数千Ω・m):岩盤・乾いた地層
取得したデータはパソコンでインバージョン解析(逆解析)によって処理され、カラー断面図(コンター図)として地下構造が描かれます。
これにより、どこに帯水層が広がっているかを視覚的に把握できます。
(3)事例紹介 ― 水道水源での地下水調査
日さくが実施した、水道水源での電気探査事例をご紹介します。
更新工事に伴い、仮設井戸と新規井戸の位置選定が必要となったため、高密度電気探査による地下水調査を実施しました。
① 目的
・井戸設計の基礎となる地下情報の取得
・工事期間中の仮設水源確保
・新規井戸(増設ボーリング位置)の選定
② 調査概要
2測線・計290mの高密度電気探査を実施しました。
電極配置には「2極法(遠隔に配置した電流・電位電極を使用)」を採用し、高い精度で対象地の地下情報を取得しました。
③ 解析結果と活用
解析により、帯水層の位置と広がりを明確に把握できました。
既存ボーリングデータと組み合わせることで、
・有望な帯水層の深度・連続性の推定
・水理地質断面図の作成
・井戸位置・深度の具体化
が可能となり、科学的根拠に基づいた井戸設計が実現しました。
従来のボーリング調査だけでは得られない「面の情報」を加えることで、地下水開発の成功率は大きく向上します。

色の違いにより、地下の比抵抗分布を断面として可視化し、帯水層の位置や広がりを把握できる。
(4)日さくの強み ― 調査から施工まで一貫対応
一般的に、電気探査は調査会社による「データ提供」で終わるケースが多く、その場合、設計・施工は他の会社が行うことになります。
しかし日さくは、電気探査 → 解析 → 井戸設計 → 施工まで、ワンストップ(自社のみ)での対応が可能です。
これにより、
・設計の精度向上
・空(から)井戸(用水量が不足する井戸)の回避
・工期短縮
・コスト最適化
が実現できます。
さらに、トンネル調査・地すべり・防災分野など、地下水開発以外にも多様な電気探査の実績があります。

(まとめ)地下水開発で迷ったら“高密度電気探査(比抵抗2次元探査)”
地下構造は地表から見えません。
だからこそ、井戸を失敗なく掘るためには科学的な根拠が必要です。
高密度電気探査(比抵抗2次元探査)は、地下水開発において最適な位置と深度の判断を支援する強力な技術です。
「地下水開発の成功率を上げたい」「どこを掘るべきか悩んでいる」という方は、まずご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 電気探査とは何ですか?
電気探査は、地下に電流を流し、電気の通りやすさ(比抵抗)を測定して地層構造や帯水層を推定する物理探査方法です。
Q2. 電気探査で井戸の成功率は上がりますか?
はい。点ではなく断面(面)で帯水層の広がりがわかるため、井戸の位置・深度の設計精度が大きく向上します。
Q3. 高密度電気探査(比抵抗2次元探査)は従来と何が違いますか?
従来は深さ方向のみでしたが、二次元探査は断面として地下構造を可視化できるため、地層の連続性を把握できます。
Q4. 調査にはどのくらい時間がかかりますか?
規模によりますが、一般的には1〜3日程度で現地測定を行います。
Q5. 調査から井戸施工まで依頼できますか?
はい。日さくでは調査・解析・井戸設計・施工までワンストップでの対応が可能です。
現場条件に応じた最適な計画をご提案いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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