皆さん、こんにちは!
今回は、私たち日さくが、北陸先端科学技術大学院大学発のベンチャー企業・バイオシーズ株式会社と共同開発した新しい研究「懸濁(けんだく)地下水中の鉄・マンガン濃度の現地計測」をご紹介します。
■ 井戸にとっての“大敵”とは?
井戸を掘るとき、欠かせないのが地下水の水質チェックです。
特に「鉄」と「マンガン」が多い地下水は要注意。水の中に含まれるこれらの成分が原因で、井戸の中に赤茶色や黒色の堆積物(スケール)がこびりつき、井戸が詰まりやすくなります。結果として、井戸の寿命が短くなってしまうのです。
そのため、水質を早く、正確に知ることは井戸掘削の現場にとって、非常に大事なことです。

■ これまでの方法と課題
従来は、井戸を仕上げてから地下水を採取し、専門機関に分析を依頼する必要がありました。結果が出るまでに1〜2週間かかるため、現場ですぐに判断できないのが大きな課題でした。
現場で手軽に使える「パックテスト」という簡易検査もありますが、色の濃さを目で見て判断する方法なので、数値化が難しく、特に濁った水では精度が出にくいという問題がありました。

■ 私たちが挑んだ新しい方法
そこで私たちは、「掘削中の濁った水(懸濁水)でも、その場で鉄やマンガンの濃度を測れる方法」を開発しました。
使用するのは、使い捨ての小さな電極と専用の測定器です。
仕組みはシンプルで、水に電極を入れて電気を流すと、鉄やマンガンが反応して電流が変化します。この変化をグラフにすることで、水の中にどれくらい鉄やマンガンが含まれているかを数値で測定できるのです。

■ 実験で見えてきた成果
実際に、長野県や茨城県の井戸工事の現場で試したところ、次のような成果が得られました。
・マンガンは、法律で定められた分析方法(ICP法)と比べても、ほぼ同じ結果が得られ、十分に正確な測定が可能でした。
・鉄は、形が変わりやすく(地下水中にいろいろな状態で存在するため)、測定が難しかったのですが、酸で溶かした後に特殊な試薬で前処理することで、安定して定量できるようになりました。
今回工夫した点は、測定までにかかる時間の短縮です。
従来は丸1日かかっていた前処理が、今回の方法ではわずか3時間半で完了。これにより、掘削現場でもほぼリアルタイムで鉄・マンガン濃度を確認できるようになりました。


■ 現場で広がる可能性
この技術が実用化されれば、井戸掘削や井戸改修工事の現場で
・掘削中にすぐ水質をチェック
・問題があればその場で対策を検討
・維持管理にも活用
といったことが可能になります。
井戸を長持ちさせるための大きな武器となるのです。
なお、この技術に関しては、本年(2025年)9月11日~12日に開催された全地連「技術フォーラム2025」山形(主催:一般社団法人全国地質調査業協会連合会)において、当社社員のヴォー フィー ソンが、「懸濁地下水中の鉄・マンガン濃度の現地計測」というテーマで発表を行いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
私たちは、井戸掘削や維持管理に役立つ新しい技術開発を続けています。
今回の「鉄・マンガン現地計測」にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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