皆さん、こんにちは!
今回は、前回に引き続き、「温泉井戸の秘密」シリーズをお届けします!(前回の「温泉井戸の秘密:誕生編」は、こちら)
私たちは今までに、全国で400本以上の温泉掘削を行ってきました。それでは、どのようにして、温泉を掘る場所を決めていると思いますか?
実は、温泉は簡単に掘り当てられるものではなく、地質や地下水(温泉水)の状態を確認するために、いくつもの調査法の中から最適な方法を慎重に検討して、計画的に進める必要があります。
さまざまな調査法の中から、前回ご紹介した2つの地層の種類に分けて、私たちの得意とする温泉の探し方をご紹介します!
▼今回の記事はこちら
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(1)電磁探査(CSMT法):多孔質貯留型ならびに断裂貯留型の温泉を探す方法
(2)自然放射能探査(断裂系探査):断裂貯留型の温泉を探す方法
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(1)電磁探査(CSMT法):多孔質貯留型ならびに断裂貯留型の温泉を探す方法
多孔質の地層が広がる地域では、地質調査により岩石の種類を確認することが第一歩です。砂岩や凝灰岩などが広がる場所では、温泉水が地層全体に広がる可能性が高いと考えられます。また、断裂貯留型では、断層や岩盤の亀裂などを温泉が流動している可能性が考えられます。
この場合、地下水(温泉水)がどのように蓄えられているかを探るため、広い範囲にわたる地質調査を行い、井戸を掘る場所の選定を慎重に行います。また、深さも重要で、どの程度掘れば温泉開発の対象になる地層に到達するかを予想するため、調査を行います。
《電磁探査:CSMT法》
電磁探査は、地下の様子を探るために、電磁波を使う調査方法です。私たちがよく使うCSMT法(Controlled Source Magneto Telluric)は、この電磁探査のうちのひとつの方法で、地層にもよりますが、おおよそ地中1,500mほどの深さまで調べることができます。
CSMT法では、調査対象地から離れた場所から電気を流して、調査対象地の地下に生ずる電場と磁場を測定し、地面の下にどんな構造があるのかを把握します。
この方法で得られる「比抵抗値」は、地質や地下水、地熱に深く関係する重要な手がかりです。既存の資料や現地調査と組み合わせ、総合的に地下構造を判断します。 カタログ(リンク)
▼測定作業状況:送信側(左) と受信側(右)
▼CSMT探査による比抵抗分布
(2)自然放射能探査(断裂系探査):断裂貯留型の温泉を探す方法
断裂貯留型では、まず断層や亀裂の存在を把握することが重要です。この場合、地表から見える断層や亀裂が有力な手がかりとなり、その周辺に温泉が存在するかどうかを既存文献にて推定します。
断裂が温泉水の供給路であるため、その断裂部分に狙いを定めて掘削を行います。掘削位置がずれると、温泉水に到達できない場合があるため、精密な探査が欠かせません。
《自然放射能探査:ガンマ線断裂系探査》
自然放射能探査とは、地面や土の中にある天然の放射性物質から出てくる放射線を測定し、地下の状況を探る方法です。
地中からはさまざまな放射線が出ていますが、私たちはビスマス、カリウム、タリウムの3つの放射性物質が放つガンマ線を同時に測定します。このデータから、地下の割れ目の状態を捉え、地下水・温泉がどのように存在しているかを推定できるのです。
測定器は、測定地点から約半径1.5メートルの範囲にわたって上昇するガンマ線をキャッチします。これら3つの放射線量の割合を分析することで、地層の状態や温泉の可能性を総合的に判断します。 カタログ(リンク)
▼ガンマ線断裂系探査による測定記録例
探す編は以上です。
次回は、「温泉井戸の秘密:掘る編」です。掘る編では、温泉掘削の許可から実際の利用に至るまで、そのプロセスを詳しくご紹介します!温泉の地中からの旅路をお楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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